読了感は、その小説の全てのイメージを一瞬で変える。例え途中途中面白くても、オチがイマイチであれば、全てが面白くないように思えてしまうし、初めは淡々としていても、最後に盛り上がりを見せれば面白い話だと思われる。語り口というのも、読了感を決定させる事項の一つで、スラスラと読ませてくれる、のめり込ませてくれるものはとかく評価が高い。
さて今作は。読了後、首を捻った。物語の筋やアイディアは決して悪くないのに、なぜすっきりしないのか。「読まされているという感覚」を、読者が感じてしまうことがその一因ではないかと私は考える。
自然と作品の世界へ入っていくような語りではなく、淡々と文を繋げているだけでは、読者に情景は伝わらない。広大な宇宙で未知の惑星に遭遇し、未知の生命体と……どこかで見た筋書きではあるが、書き方によってはもっと面白い話になるに違いない。一つ一つの事柄を丁寧にという言葉をはき違えているかのように、軍隊の号令やら指示はきちんと羅列するのに、読者が最も知りたいであろう景色や登場人物の心の動きに関して、なぜか語りが少ない。この状態では、自然に話の中に入っていくどころか、読み進めようかどうか迷い、やめてしまう人を多くしてしまうだけだ。
特に気になったのは、先に一部例を挙げたが、艦長である主人公が指示を出したり、部下を集めたりするような「行動」を漏らさず書き過ぎているところ。地の文の書き方によってはすっきり纏められるような所を広げて書いて、それでいて場面と場面の移り変わりは行間のみという、何ともあっさりとしたところも合わせて気になる。その一つ一つが大切な出来事であるならば、いくらでも丁寧に書いていただきたいが、読者の心情としては、物語の本筋にさほど影響の与えないことに関してはサラッと済ませて欲しいのだ。
こうした書き方は、後半の見せ場であろう生命体との格闘を、霞ませてしまっている。山場であるにもかかわらず、その箇所に費やしている文字数が異常に少ないことからも、それは窺えるはずだ。なぜ、物語の中心である部分に比重を置かないのか。なぜ、本当に見せたいはずのところが読者に伝わらないのか。
要するに、「何を描きたいのか」という情熱が不足しているように思えてならないのだ。
本当に読ませたいのは、細かな軍隊の動きなどではないはずだ。誰がいつどこで誰に指令を出しただとか、形式的な言葉のやりとりがどうだとか、そんなことを書きたいのではないはずだ。
読了後、淡々としたやりとりのみが心に残るのが残念でならない。書きたいという気持ちはあるようなので、一人の読者として思ったまま書き連ねた。心には刺さるだろうが、物語を書き続けたいと思うなら、是非、心動かすようなものを書こうという気持ちも大きくして欲しい。
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